四谷、新宿御苑前で弁護士をしています石原です。
本日は、夫婦関係、男女関係でよくあるご質問について、お話しをいたします。
1 不貞慰謝料とは?
旦那さんが浮気をしていた。
交際していた男性の奥さんに二人の不倫関係がばれてしまった。
そういった時に、慰謝料請求をする、またはされるということは、皆さんご存知です。
私は小さい頃、イシャリョウは医者料、つまり治療費だと勘違いしていました。もちろん、正しくは【慰謝料】で「精神的苦痛に対する損害賠償」という意味です。
配偶者(夫や妻)やパートナーが、他の人と交際をしていると知ったとき、精神的に大きな傷を負ってしまうので、これに対して金銭的解決を図るということになります。
2 慰謝料の相場は?
「慰謝料」というキーワードでインターネット検索すると、上位の表示結果は「浮気・不倫の慰謝料相場」といったタイトルのページばかりになります。それほど皆さん相場というのを気にされているのが分かります。
たしかに、相場というのは請求する側も、請求される側も気になります。「世間一般の相場より安く請求してしまって損をするのではないか?」とか「相場以上の金額であれば払いたくない。」というお気持ちでしょう。
また、裁判上も「A裁判所ではとても高い慰謝料を認めるけれど、B裁判所だと慰謝料が低い」という不公平があると、皆さんの裁判に対する信頼を損ねてしまう恐れもあります。
しかし、私はご相談を受けると「慰謝料の相場というものは無いと考えています」とお伝えしています。
なぜ、私が不貞慰謝料、不倫の慰謝料に相場がないと考えているかですが、まずは「相場」を紹介しているサイトなどについて分析してみます。
インターネットの検索結果を見てみると、次のような内容が目につきました。「別居しない場合は50~100万円」など、パターンで分けて紹介されているもの。「不倫慰謝料は100万~500万円」とパターン分けせずに紹介されているものなどがあります。複数のサイトを見ると、概ね「50万円~500万円」という範囲に収まっているようです。
果たして、これだけの幅がある金額で、「相場」として見てもいいものでしょうか?
また、これらのサイトで紹介されているものは、「判決で認められた金額」であって、交渉や和解での金額を載せているサイトは少ないようです。
さらに、ほとんどのサイトでは、「様々な要因によって増減します」とか、「慰謝料額判断のポイント」を列挙してあるなど、具体的事情によって慰謝料額が異なることが付け加えられています。
つまり、裁判で戦って、裁判所が最終的結論として出した金額帯は、50万円~500万円という幅に収まっている、ということは出来るかもしれませんが、個々の事案については「異なる事情」「様々な要因」によって結論が決まっているため、【不貞慰謝料】というものの一般的相場はないと言っていいと思います。
実際、私も裁判外で交渉して、50万円~500万円の範囲外で妥結したこともあります。また、慰謝料請求したいというご相談者にお気持ちを聞くと、この範囲内でおさまる金額の請求でご納得される方は少ないです。
理論的にも、犯罪に対する刑罰のように、法律で慰謝料額の範囲が決まっているものでもありません。また、慰謝料の原因である「精神的苦痛」は、本来金銭に換算できないものですので、機械的に幾らと定めることができないものです。
以上のようなことから、私はご相談者には「不貞慰謝料に相場はないと考えています」とお伝えしています。それでも、やはりいくらくらいになるのかは皆さん気になるところなので、「私が持っているデータでは、判決で認められた金額としては、500万円以下という結論が多いです」とお伝えしています。
ご自分が不倫・浮気のトラブルに巻き込まれてしまった時は、具体的な事情によって裁判で認められる金額が異なってきますので、是非専門家にご相談ください。