新宿で弁護士をしています石原です。
最近は一時期ほどCMなどで聞かなくなりましたが、一時期は弁護士・法律事務所のCM・広告といえば過払金(過払い金)に関するものばかりでした。
しかし、ほとんどの人が自分には関係がないと思っているのか、過払金とは何か? どういう人が対象になるのか? 分かっていないように思います。
そこで、とても簡単に過払い金とは何か? というお話をいたします。
1.利息制限法・出資法・貸金業法
いきなり法律の名前が出てきてしまって、難しいように思うかもしれませんが、その名前の通り「利息を制限する法律」が日本にはあります。
しかし、少し前までの貸金業では、この法律で上限として定められていた利息以上の利息を取っていました。
「それって違法じゃないの?」と皆さん思うでしょう。
そうです。違法なんです。
しかし、実は他にも利息の上限を定めている法律があり、その上限が利息制限法より10%も高い利息を設定していたのです。
この間の利息をグレーゾーン金利と呼んでいました。
なぜこのようなことが起きるかと言いますと、それぞれの法律の目的が異なるからです。
利息制限法は民事上、もう一つの出資法は刑事上の利息上限を定めていました。
利息制限法を超えていても、出資法を超えていなければ罰則は課されません。
さらに、貸金業法という法律があり、一定の条件をクリアしていれば、このグレーゾーン金利を受け取ることができてしまっていました。
2.過払金
しかし、最高裁判所の判例によって、ほとんどのグレーゾーン金利が民事上無効となりました。
そのため、貸金業者は利息制限法の上限を超える利息を民事上も受け取れないという事態が生じました。
これまで業者がグレーゾーン金利として受け取っていた利息が、実はもらい過ぎで、消費者からすれば「払い過ぎ」だったわけです。
そこで、利息制限法の利率で借りたお金(元金)、利息、返済金を計算し直す(引き直し計算)と、実は借りていたお金(元金)も完済していて、そこから先は「過払金(過払い金)」となっているのです。
これは、貸金業者との取引明細を見ても直ぐに明らかになるものではないので、現在も返済中の人も、既に何年も前に完済している人も、過払金が発生している可能性があります。
3.過払い金の可能性がある人
過払金の可能性がある人はどのような人でしょうか?
上記のようなグレーゾーン金利を払っていた人です。
時期で言えば、おおよそ平成18年より前に貸金業者と契約していた人です。
その後、金利は見直されていますが、それ以前の取引について業者から自主的にもらい過ぎの金額を教えてくれたり、返してくれたりということはありません。
そこで、過払金があるかどうか確認したり、過払金を取り戻すためには、自ら行動を起こすしかないのです。
10年以上前に貸金業者から借り入れをし、苦労していた方は当時の契約書や明細、あるいは取引履歴を確認してください。
20%を超える利率が書かれていますと、払い過ぎのお金があったり、あるいは借金が実はもっと少なくなっているということがあります。
4.過払い金の期限?
広告などで、「過払金には返金期限がある」と聞いたことがある人も多いでしょう。
これは、過払金に限らず「消滅時効」という問題です。
昔のことを持ち出されたときに「時効だ」と反論するのを見たり、聞いたりしたことがあると思います。
「時効」の一つに、請求権が消滅してしまうものがあります。
お金の返還などの債権は10年で消滅時効にかかります。(平成29年10月現在。改正に注意してください)
過払金が一般に知れ渡ったのが、上記のように平成18年頃ですので、時効消滅してしまっている方が沢山出ていると思います。
この記事を読んでいただいた方の中で、平成18年より前に契約して、消費者金融やカードキャッシングを継続的に利用していた方は、是非取引履歴を取得していただく等、過払金の有無をご確認ください。
実際に取り戻したい、手続きについて具体的に相談したいという方は、当事務所までご連絡ください。