親に相続対策をしてもらうには?
2017.05.01更新
新宿、四谷エリアで弁護士をしている石原です。
主に、ご家庭内の争いごとである離婚や相続、遺産分割の事件を取り扱っています。
今回は、相続(相続税)対策のセミナーをやっていると、参加者から聞かれる「どうすれば親に相続対策をしてもらえるか?」というご質問にお答えいたします。
1 相続対策の重要性
テレビのサスペンスものなどで、遺産争いから殺人事件に発展して…などというストーリーを見たことがある人も多いと思います。
あるいは、近しい人から相続でもめてしまって、骨肉の争いまではいかなくても、疎遠になってしまったと聞いたことがあるかもしれません。
また、全く対策をしていないと相続税が莫大な金額になってしまい、泣く泣く家を手放すということもあり得ます。
このように、皆さん相続対策の重要性はお気づきだと思います。
2 相続対策の難しさ
しかし、相続は、困る人(相続人)と、対策ができる人(被相続人)が異なります。
また、相続は被相続人となる親など身近な人がお亡くなりになったときに始まりますので、どうしても考えたくない死んだあとのことを考えざるを得ません。
さらに、お金のことは親子でも非常に話しづらい話題ですし、お金のことを口にすると財産目当てと勘違いされてしまう不安もあります。
それらのことを考えると、どうしても将来困るであろう子どもの方から、対策ができる親に対して「相続対策」の話を切り出すのは難しくなってしまいます。また、親の方でも「いつかやらなきゃ」と思いながら、相談できる相手もおらず、時間ばかりが過ぎてしまいます。
3 相続対策はじめの一歩
そこで、私のお勧めする相続対策のはじめの一歩は、「今後の生き方」を家族や親子で話してみることです。
まずは、話の切り出し方です。誰かの介護や自宅リフォームの話が出れば、その話に乗っかればいいのですが、なかなか話のきっかけがない場合は、次のように切り出してみてください。
「知り合いから聞いたんだけど」とか、「最近テレビなどで知ったんだけど」と、第三者のお話として切り出してみてください。あくまで他人事として話をして、親に「そういえば、自分も」と自分事として受け止めてもらえるようにすると、「自分が死んだ後の話を子どもにされた」という感覚がなく、話を聞きやすいと思います。
話題にするのなら、「終活」がいいのではないでしょうか。
「終活」というと、「亡くなる準備」のように思えますが、そうではありません。あくまで「どう自分らしく生きるのか」が最大のテーマです。したがいまして、「終活」というワードは出さなくてもいいですし、誤解があるようなら避けた方がいいかもしれません。
そこでは、親御さんに「不安に思っていること」や「本当にやりたいこと」「今後の希望」を聞いてあげてください。
「不安」なことに対しては、その不安に対する対策(治療、定期検診)、相談相手(かかりつけ医、ご友人)、備え(保険、預金)を聞いて、不足があれば一緒に考えてあげてください。
「やりたいこと」に対しては、そのために必要な準備や楽しむために気を付けること、万が一が起きたときの対処について話し合うのがいいと思います。
「今後の希望」は、もう少し踏み込んだ介護、終末に向けてのご希望、準備、連絡先などを聞いたり、メモしてもらうのがいいと思います。
ここまで来たら思い切って相続のお話をしていただいてもいいですし、相続で困った第三者のお話しや、専門家のセミナーのお話などを切り出してみてはいかがでしょうか。
4 セミナーのご案内等
私は、月に一度のペースで相続に関するセミナーを行っています。
非常に小さな会場で、冗談を交えながらあまり難しくならないように心がけています。
ほとんどのセミナーは税理士さんと共同で 「争続・争族対策」と「相続税対策」として行っています。
どなたでも参加できるオープンなセミナーについては、私のHPやFacebookで告知しておりますので、気になる方はお問い合わせください。
また、地域や団体でセミナーを開いて欲しいというご要望も承っております。
HP等からお気軽にお問い合わせください。
先日も、ある商店街・町内会主催の100名以上の方が参加された新年賀詞交換会において、税理士と共同で相続対策セミナーを担当いたしましたので、近いうちにその様子をアップしたいと思います。
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